2013年の10月18日~21日
韓国の慶州、南山の石仏を見る旅に出かけました。
南山は新羅仏教発祥の地で、山中に石仏や石塔が無数にあります。
標高は500mほどですが、韓国の山は岩盤で、ひじょうに歩きにくく、
本格的な登山になるとの事前情報があり、
登山経験がほどんどないうえに、人工股関節の手術をして日が浅いわたしは、
すっかりビビってしまったのでした。
「こんな脚で、果たして無事帰ってこられるのか?」
しかし、これは仕事なので、何が何でも行くしかない、ということで、
トレッキングシューズとトレッキングポールを買って、
かの三浦雄一郎さんもホームグラウンドにしていたという山にでかけ、
トレーニングをいたしました。
というのは、代々木公園内の小山のことなんですけど。
そのかいあって、ひじょうに危険な山ではありましたが、
怪我ひとつなく、戻ってくることができました。
以前、取材のために吉野山の修行登山にでかけたときもそう思いましたが、
自分ひとりでは絶対に無理なところに出かけ、
無事帰ってこられるのは、神仏及び回りの人々のお助けのおかげです。
ふだんは、どうも、自分が助けられていることを忘れがちなので、
たまに、こういう経験をして再認識するとよいみたい。
忘れないうちに旅のあらましを記しておきます。
まずは1日目
この日の石仏ウォッチングは、それほどたいした登りはなく、
「なんだ、楽勝じゃん」
という空気が一同の間に流れました。
まずは、「仏谷」というところにある磨崖如来像を見に行きます。
これは、新羅の石仏の中でも最古の部類で七世紀初頭にできたものです。
モデルは、新羅最初の女帝、善徳女王とされます。
善徳女王は、何年か前にドラマ化され、大人気だったようです。
(わたしは韓流音痴なので、まったく知りませんでしたが)
次は、「塔谷」というところにある磨崖仏像群。
高さ10m、幅30mという巨岩の周囲に、34体もの
如来像、菩薩像、飛天像、僧侶像などが
彫られています。
浅い線彫りのため、摩耗が激しく、よく見えない部分もありますが、
実に美しい彫刻で、これが新羅の磨崖仏の白眉と言えます。
新羅仏教は華厳宗が中心なので、奈良で、
こちらの彫刻にちょっと似たものを見かけますね。
三つめは、弥勒谷というところにある
釈迦如来像。これは先の二つよりも少しあとの統一新羅時代のものとされ、
もっとも摩耗が少なく、完璧な姿で残っています。
しかし、楽勝だったのは、ここまで。
この後は、月に一度行われる「新羅月灯り紀行」というイベントに参加しました。
これは「さまざまな遺跡を巡り、少し散策しながら夜を待ち、
最後にちょっとしたショーを楽しむ」という内容と聞いていましたが、
その散策が実は大変。
あちこちに残る古墳やお寺の跡を見学しながら、
いつ果てるともない田んぼ道を、歩く、歩く、歩く。
何だか本当に、遠い新羅という国に旅に行くような気分になってきました。
最後には、願いごとを書いた提灯を持って、
芬皇寺というお寺の回りをぐるぐる回ったり、
皇龍寺址というかつて九重塔があったお寺の跡で行われる
コンサートを観賞したりと、
なかなかロマンティックな夜になりました。
さて、翌日は、いよいよ南山登山本番です。